速読はさまざまな場面で使える実用的なスキルですが、実は小学生が速読を習う際には、気をつけたいデメリットがいくつかあるんです。今回は、小学生が速読を習うデメリットと、それぞれのデメリットの解決方法についてお話ししていきますね。

速読を習う時はデメリットもちゃんと理解しておこう!
速読を小学生で習うデメリットと解決方法

速読は、文字通り「速く読む」技術です。大人にとっては、情報収集の効率を上げたり、多くの本を読破したりするのに役立つ素晴らしいスキル。
でも、まだ学びの基礎を築いている段階の小学生にとっては、場合によってはマイナスに働く可能性もあるんです。
デメリット | 解決方法 |
---|---|
読書が嫌いになる | ・「速読用の本」と「楽しむ本」を分ける ・速読の「目的」を伝える ・成果だけでなく「頑張ったこと」を褒める ・「アウトプット」で楽しさを実感させる |
想像力の発達への影響 | ・「じっくり読み」も大切にする ・内容について語り合う ・五感を意識させる ・物語を作るように遊ぶ |
音読を軽視してしまう | ・音読の意義を伝える ・家族で音読の時間を作る ・感情を込めて読む練習をする ・学校の音読を尊重する |
辞書を引く習慣がなくなる | ・「調べること」の重要性を伝える ・辞書を身近に置く ・親も一緒に調べる ・アウトプットを促す |
上達に個人差がある | ・「速さ」だけが目的ではないと伝える ・個人の成長を褒める ・無理強いはしない ・読書は楽しむもの、という原点に立ち返る |
それぞれ、詳しく解説していきます。
デメリット①読書が嫌いになる

速読のトレーニングって、やり方を間違えると「とにかく早く読む」ことに注目しすぎてしまうこともあります。まだ文字を読み始めたばかりの小学生の子や、ゆっくり物語の世界に入り込みたい子にとって、これは大きなプレッシャーになることがあります。
「早く読みなさい!」「まだこんなに遅いの?」なんて言われたら、子どもは「本を読む=しんどいこと」って思っちゃうかもしれません。
内容をしっかり理解する前に次へ次へと進むので、結局「何が書いてあったかよくわからない」状態になりがちです。これだと、読んでも楽しくないし、本を読むこと自体に嫌なイメージがついてしまい、最悪の場合、読書そのものが嫌いになってしまうこともあるんです。
解決方法
小学生の子どもにとって一番大切なのは、「スピード」よりも「楽しさ」と「理解」を優先することです。
「速読用の本」と「楽しむ本」を分ける
速読のトレーニングで使うテキストは、スピードアップに特化したものと割り切りましょう。
それとは別に、子どもが心から「読んでみたい!」と思うような、内容が面白くてじっくり読める本を自由に選ばせてあげてください。この「楽しむ本」を読む時間は、「早く読まなくてもいい時間」と明確に伝え、プレッシャーをかけないようにしましょう。
速読の「目的」を伝える
子どもに「速読は、もっとたくさんの本を読めるようになるための『道具』なんだよ」と伝えてあげましょう。
「早く読めるようになると、面白い本にたくさん出会えるようになるんだよ!」と、速読が読書を楽しむための「手段」であることを強調してあげると、小学生でも理解しやすくなります。
成果だけでなく「頑張ったこと」を褒める
速読の練習では、タイムを気にしがちですが、大切なのは「前より少しだけ集中できたね」「文章を塊でとらえる練習ができたね」といった、具体的な努力やプロセスを褒めてあげることです。
速さだけにとらわれず、「速く読もうと頑張った」という気持ちを認めてあげることで、子どものモチベーションを保てます。
「アウトプット」で楽しさを実感させる
速読で読んだ本についても、内容が頭に入っているかを確認する際は、「〇〇ってどんな話だった?」「一番面白かったところはどこ?」といった簡単な質問を投げかけてみましょう。
完璧な理解を求めすぎず、少しでも内容が言えれば「よく覚えていたね!」と褒めてあげ、理解できた喜びを共有することが、読書そのものへの肯定的な気持ちに繋がります。
デメリット②想像力の発達への影響

速読は、文章を塊で捉えたり、必要な情報だけをピックアップしたりする技術です。これは情報処理能力を高めますが、デメリットとして、子どもの豊かな想像力を育む機会を奪ってしまう可能性があります。
本を読むときって、行間を読んだり、登場人物の気持ちを想像したり、描かれている風景を頭の中に思い描いたりしますよね?
速読で「早く読む」ことを意識しすぎると、これらの想像を膨らませる「間」がなくなってしまいます。文字を文字として処理するだけで終わってしまい、自分だけの世界を築く力が育ちにくくなる、なんてことにも繋がりかねません。
解決方法
小学生で速読を習う場合は、想像力を育む読書の時間も確保してあげてください。
「じっくり読み」も大切にする
全ての読書を速読の練習にするのではなく、「これはゆっくり味わおうね」という本も用意してあげましょう。
内容について語り合う
「この場面、どんな音がしたかな?」「主人公はどんな気持ちだったと思う?」など、具体的な質問をして、子どもの想像力を刺激する会話をしてみてください。
五感を意識させる
速読とは違う、絵本や挿絵の多い本を選んで、「どんな匂いがするだろう?」「どんな色が見える?」など、五感を意識させる読み方を促してみましょう。
物語を作るように遊ぶ
小学生の子どもにとっては、読書以外にも自分で物語を考えたり、絵を描いたりする遊びを通して、想像力を養うことも大切です。
デメリット③音読を軽視してしまう

学校では、国語の授業で音読をしたり、宿題で声に出して読む音読が出たりしますよね。でも、小学生で速読を習い始めるデメリットとして、「早く読むこと」が目的になりすぎて、音読の重要性が見過ごされがちになります。
速読は主に「黙読」の速さを追求します。そのため、「声に出して読むなんて時間の無駄」と考えてしまう小学生の子もいるかもしれません。
でも、音読って、ただ声に出すだけじゃないんです。文章を目で追い、声に出し、それを耳で聞くことで、脳が活性化され、内容の理解度が深まる効果があるんですよ。また、表現力や語彙力、滑舌も鍛えられ、日本語の美しさやリズムを感じる大切な機会でもあります。
解決方法
音読を大事にする習慣をできる範囲で身につけさせてください。
音読の意義を伝える
「音読は、声に出して読むことで、文章の意味がもっとよくわかるようになるんだよ」「言葉の響きを感じられるんだよ」など、音読の大切さを具体的に伝えてあげましょう。
家族で音読の時間を作る
小学生の子どもと一緒に絵本を読んだり、交代で音読したりするのもいいですね。
感情を込めて読む練習をする
登場人物になりきって読んだり、抑揚をつけて読んだりすることで、音読の楽しさを体験させてみましょう。
学校の音読を尊重する
学校の宿題として出る音読は、速読の練習とは切り離して、丁寧に取り組むよう促してください。
デメリット④辞書を引く習慣がなくなる

速読のトレーニング中は、教材によっては、とにかくスピードを上げるために、わからない言葉があっても立ち止まらずに読み進めるように指導されることがあります。これがデメリットとして作用し、子どもの「調べる習慣」を損なう原因になることも。
本を読んでいると、知らない言葉や漢字に出会うことがありますよね。そんな時に「これはどういう意味だろう?」と辞書を引いたり、調べたりする習慣は、語彙力や漢字力を高める上で非常に大切です。
でも、速読で「止まらずに読む」ことを優先しすぎると、デメリットとして意味が曖昧なまま読み飛ばしてしまうことが増え、自ら知識を深めようとする意欲が育ちにくくなってしまいます。
解決方法
小学生の段階から、わからない言葉をそのままにしない習慣を身につけさせてあげましょう。
「調べること」の重要性を伝える
「知らない言葉を調べると、もっと本の内容が面白くわかるようになるよ」と、調べることの楽しさを教えてあげてください。
辞書を身近に置く
紙の辞書でも電子辞書でも、すぐに使える場所に置いてあげましょう。最近はスマホやタブレットのアプリでも簡単に調べられます。
親も一緒に調べる
親が「これってどういう意味だろう?」と一緒に辞書を引く姿を見せるのも効果的です。
アウトプットを促す
調べた言葉を使って文章を作ったり、話してみたりする機会を与えてあげると、より記憶に定着します。
デメリット⑤上達に個人差がある

速読のトレーニングに限らず、どの習い事もそうですが、上達のスピードには個人差がつきものです。頑張ってもなかなか成果が出ない子もいれば、すぐにコツをつかんで速く読めるようになる子もいます。
速読は脳の特性や集中力、これまでの読書経験など、様々な要素に影響されます。
もし、周りの子がどんどん速く読めるようになる中で、自分の子どもだけがなかなか上達しない場合、「自分はできない子だ」と劣等感を抱いてしまう可能性があります。そうなると、せっかく始めた速読が、子どもにとって「つらい」ものになり、自信を失ってしまう原因にもなりかねません。
解決方法
成果よりも過程を重視し、子どもの気持ちに寄り添いましょう。
「速さ」だけが目的ではないと伝える
速読の最終目標は「速く読むこと」ではなく、「読書をもっと楽しむこと」「たくさんの知識を得ること」であることを明確に伝えましょう。
個人の成長を褒める
他の子と比較するのではなく、「昨日よりもちょっと速く読めたね!」「前より内容がしっかり頭に入ってるね!」など、その子自身の成長を具体的に褒めてあげてください。
無理強いはしない
もし子どもが速読に苦痛を感じているようであれば、一度お休みしたり、やめたりする選択肢も考えてあげましょう。何よりも大切なのは、本を読むこと自体を好きでい続けることです。
読書は楽しむもの、という原点に立ち返る
速読が目的になってしまい、読書本来の楽しさを見失わないように、常に子どもの読書体験を大切にしてあげてください。
まとめ
速読は、確かに効率的な情報収集や学習に役立つ素晴らしい技術です。でも、まだ成長過程にある小学生にとって、早く読むことだけを追求してしまうと、今回お話ししたようなデメリットが生じてしまう可能性もゼロではありません。
大切なのは、「本を読むことって楽しい!」という気持ちを育むこと。そして、文章を読んで内容を深く理解し、そこから自分なりの想像を広げる力や、知らないことを調べようとする探究心を養うことです。
もし、小学生のお子さんに速読を習わせることを考えているのであれば、これらのデメリットも頭に入れて、スピードを追求するだけでなく、お子さんのペースや興味を尊重しながら、本の楽しさを教えてあげることを忘れないでくださいね。
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